目次
序章
はじめに
この文法書について
本書はエレギア帝国帝立大学言語学研究所によって刊行された辞典、Cinarwziqili Beruvwdikwtw の巻末資料Cinarwziqili Gwlamwdufunw を日本語に翻訳したものである。
本辞典および文法書の翻訳にあたり、エレギア帝国帝立大学言語学研究所の皆様から多大なるご支援と貴重な助言を賜った。ここに深く感謝の意を表する。
エレギア語の概要
エレギア語は、砂漠の中のオアシス都市を中心に成立した帝国、エレギア帝国の公用語である。
その文法や発音は、ハナス・ピスピ共和連合時代に話されていたピスピ語から殆ど変化しておらず、多様な遺物が当時のまま解読可能である。
帝国議会によって制定された数多くの書体は、近年オープンソースのデジタルフォントとして整備され、帝国公式のウェブサイトにて公開されている。
音韻体系
子音
子音文字は調音部位を象った形状を持ち、音声学的な特徴を視覚的に表現している。
子音表
子音の発音についての説明
- k
- この文字は/k/という発音を指す。
- g
- この文字は/g/という発音を指す。
- t
- この文字は/t/という発音を指す。
- d
- この文字は/d/という発音を指す。
- s
- この文字は/s/という発音を指す。
- z
- この文字は/z/という発音を指す。
- q
- この文字は/ʔ/という発音を指す。
- c
- この文字は/ʕ/という発音を指す。
- r
- この文字は/r/という発音を指す。
- l
- この文字は/l/という発音を指す。
- p
- この文字は/p/という発音を指す。
- b
- この文字は/b/という発音を指す。
- h
- この文字は/h/という発音を指す。
- x
- この文字は/x/という発音を指す。
- f
- この文字は/f/という発音を指す。
- v
- この文字は/v/という発音を指す。
- m
- この文字は/m/という発音を指す。
- n
- この文字は/n/という発音を指す。
母音
この言語において母音符号の付与は限定的であり、特に初学用や幼児用に母音符号を記述することもある。
母音表
母音の発音についての説明
- -a
- この文字は/a/という発音を指す。
- -e
- この文字は/e/という発音を指す。
- -i
- この文字は/i/という発音を指す。
- -o
- この文字は/o/という発音を指す。
- -u
- この文字は/u/という発音を指す。
- -w
- この文字は無母音符号を指す。
書記体系
文字体系
- ピスピ文字
- 先述のエレギア文字の祖先に該当する書記体系。古代文明ハナス・ピスピで広く用いられていた記録が残っており、現在では伝統的な装飾や詩歌などに用いられている。
- エレギア文字
- 現行のエレギア語表記に広く用いられる文字。複数の字体があり、地域差が甚だしい書記体系とも取ることができるが、拡張文字も存在し、遍く使われ得る書記体系と銘打たれることもある。
標準字体
エレギア語の書記体系には、地域や時代によって異なる字体が存在する。これらの字体は、エレギア語の文化や歴史を反映している。
エレギア語に用いられる標準字体
- コディート体
-
kodito - エレギア帝国の工業革命期に使用された工業用規格書体である。後述のシルキ体を筆記面積削減のため横に潰した字体をしている。
- レクータ体
-
lekuta - ロゼーグ体
-
lozegw - マキーナ体
-
makina - エレギア帝国で最初期に用いられたコンピュータ用フォントである。ビットマップフォントの一種で、低解像度のディスプレイに最適化されている。
- ピスピ体
-
piswpi - ハナス・ピスピ共和連合時代に用いられた書体である。Comwnwnaqanw という神が創造したと伝説上では語られている。
- ポルゴ体
-
polwgo - シルキ体
-
silwki - スリーヴェ体
-
sulive -
ハナス・ピスピ共和連合時代に用いられた書体である。Sulive
というのは、ピスピ語で
流出させる
という意味を持つ動詞で、ピスピ体の筆記体として用いられている。 - ハヴァーニ体
-
xavani - エレギア帝国と東方の大帝国Xavanw の国交開通に伴って開発された書体である。何があっても揺るがないようにという意図が図形に込められている。
- ヘサーダ体
-
xesada - ヒディーリ体
-
xidili - エレギア帝国内でのXavanw 文化の流行に即して制作された書体。Xavanw にて吉祥を表す正八角形を基調としている。 xidili とはXavanw にて吉祥を表す言葉である。
- ゾソーク体
-
zosokw - エレギア帝国第五代目皇帝Pwratuluqusw Qinalwgiqili の皇后、Qamiricaqale Zosokw が考案した書体。後にこれはエレギア帝国の教育用標準書体として制定された。
約物
エレギア語において、約物は主に文構造を明確にするために使用される。
約物の使用法
エレギア語で用いられる約物の一覧と役割を示す。
- .
- 句点
- ,
- 読点
- :
- 弱句点
- ;
- 強読点
- !
- 感嘆符
- ?
- 疑問符
-
- 右方点
-
- 左方点
子音の役割
単語構造
基本単語構造
エレギア語の基本単語構造はC1V1C2V2C3V3となる。これは原型となる単語のことであって、活用形などは後述する接辞の節にて単語構造が拡張される。
子音概念
語根はエレギア語において最も重要な単語の概念を指し示す水先案内人の様な存在である。後世の学者たちが単語を区別するために子音概念を明瞭化させた。そのために子音概念を理解することが重要である。
子音概念表
子音の概念についての説明
- k
- この文字は剥離の概念を持つ。
- g
- この文字は癒着の概念を持つ。
- t
- この文字は乖離の概念を持つ。
- d
- この文字は同一の概念を持つ。
- s
- この文字は肉体の概念を持つ。
- z
- この文字は精神の概念を持つ。
- q
- この文字は空白の概念を持つ。
- c
- この文字は物質の概念を持つ。
- r
- この文字は過去の概念を持つ。
- l
- この文字は未来の概念を持つ。
- p
- この文字は鎮静の概念を持つ。
- b
- この文字は高揚の概念を持つ。
- h
- この文字は受動の概念を持つ。
- x
- この文字は能動の概念を持つ。
- f
- この文字は創造の概念を持つ。
- v
- この文字は破壊の概念を持つ。
- m
- この文字は流動の概念を持つ。
- n
- この文字は固定の概念を持つ。
語根
語根は単語の基本となる部分であり、語根に接辞を付けることで意味を変化させることができる。
C1C2C3
語根概念
子音概念を三つ繋げることで語根概念が形成される。
接辞
接頭辞
CprefixC1C2C3
接尾辞
C1C2C3Csuffix
複合接辞
CprefixC1C2C3Csuffix
格
語根格
エレギア語の語根格には否格、与格、属格、対格、主格、流格が存在する。
前置格
第一子音(C1)に附属する第一母音(V1)の種別によって語根格が決定される。
- 否格
- C1の概念を否定させる格。
- 与格
- C1の概念を指向させる格。
- 属格
- C1の概念を包含させる格。
- 対格
- C1の概念を標的とする格。
- 主格
- C1の概念を起点とする格。
- 流格
- C1の概念を流出させる格。
後置格
第二子音(C2)に附属する第二母音(V2)の種別によって語根格が決定される。
- 否格
- C2の概念を否定させる格。
- 与格
- C2の概念を指向させる格。
- 属格
- C2の概念を包含させる格。
- 対格
- C2の概念を標的とする格。
- 主格
- C2の概念を起点とする格。
- 流格
- C2の概念を流出させる格。
複合格
前置格(V1)と後置格(V2)の組み合わせの種別によって語根格が決定される。
- 否格
-
- 否否格 否与格 否属格 否対格 否主格 否流格
- 与格
-
- 与否格 与与格 与属格 与対格 与主格 与流格
- 属格
-
- 属否格 属与格 属属格 属対格 属主格 属流格
- 対格
-
- 対否格 対与格 対属格 対対格 対主格 対流格
- 主格
-
- 主否格 主与格 主属格 主対格 主主格 主流格
- 流格
-
- 流否格 流与格 流属格 流対格 流主格 流流格
接辞格
エレギア語の接辞格には否格、与格、属格、対格、主格、流格が存在する。
接頭辞格
接頭辞子音(Cprefix)に附属する接頭辞母音(Vprefix)の種別によって接辞格が決定される。
- 否格
- Cprefixの概念を否定させる格。
- 与格
- Cprefixの概念を指向させる格。
- 属格
- Cprefixの概念を包含させる格。
- 対格
- Cprefixの概念を標的とする格。
- 主格
- Cprefixの概念を起点とする格。
- 流格
- Cprefixの概念を流出させる格。
接尾辞格
接尾辞子音(Csuffix)に附属する接尾辞母音(Vsuffix)の種別によって接辞格が決定される。
- 否格
- Csuffixの概念を否定させる格。
- 与格
- Csuffixの概念を指向させる格。
- 属格
- Csuffixの概念を包含させる格。
- 対格
- Csuffixの概念を標的とする格。
- 主格
- Csuffixの概念を起点とする格。
- 流格
- Csuffixの概念を流出させる格。
品詞
品詞分類
エレギア語の品詞には附詞、動詞、容詞、助詞、副詞、名詞が存在する。
品詞の種別
第三子音(C3)に附属する第三母音(V3)の種別によって品詞が決定される。
- 附詞
- 前置修飾して意味を限定させる品詞である。
- 動詞
- 動作の意味主体を表す品詞である。
- 容詞
- 物事の状態を表す品詞である。
- 助詞
- 後置修飾して意味を限定させる品詞である。
- 副詞
- 動作の意味周辺を表す品詞である。
- 名詞
- 物事の概念を表す品詞である。
文構造
基本文型
主語、述語、目的語の配置
複文と従属文
複文の構成、従属節の使い方
否定文と疑問文
否定や疑問の表現方法
強調と焦点
文の中で特定の部分を強調する方法
特殊構文
受動態
受動態の形成と使用法
能動態と中動態
能動態、中動態の説明と使用例
命令文
命令文の形成と使用法
語彙の形成と辞書の使用方法
語彙の形成
新しい語彙を作る規則
辞書の使用方法
語彙の検索方法や辞書の構成
エレギア語の辞書では主に語根からの派生形を捜査する形式となっている。
付録
重要な語句
エレギア語でよく使われる語句を提示する。
よく使われる語句
- 正式な挨拶
- Kotiva!
- くだけた挨拶
- Xoqoci!
活用図表
附詞活用図表
附詞の格変化、数、定及び不定の概念など
附詞活用表
附詞活用図
動詞活用図表
動詞の活用、時制、態、相など
動詞活用表
- 時制
-
- 空白形
- 物質形
- 過去形
- 未来形
- 鎮静形
- 高揚形
- 相
-
- 受動相
- 能動相
- 創造相
- 破壊相
- 流動相
- 固定相
動詞活用図
容詞活用図表
容詞の格変化、数、定及び不定の概念など
容詞活用表
容詞活用図
助詞活用図表
助詞の機能と用法
助詞活用表
助詞活用図
副詞活用図表
副詞の格変化、数、定及び不定の概念など
副詞活用表
- 時制
-
- 空白形
- 物質形
- 過去形
- 未来形
- 鎮静形
- 高揚形
- 相
-
- 受動相
- 能動相
- 創造相
- 破壊相
- 流動相
- 固定相
副詞活用図
名詞活用図表
名詞の格変化、数、定及び不定の概念など