Ceqerwlicusw Cinarwziqilw
が目覚めたのはベッドの上だった。彼は目覚めると同時にZikwri!
と叫んで起き上がった。彼の顔は蒼白、汗はしきりに頬を垂れ流れていた。しかし、その心配も無用。目当ての彼女は彼の隣のベッドで心地良く微睡
に落ちているのだった。
彼は安心して胸を撫で下ろし、寝転ぶとCazirwnaqazw Pwratuloqosw
……
とあの忌々しい名前を呟いた。そして、少し痛む体を起こすと、Baqaxwzikwrw Garwzicaqalw
の寝顔を見つめた。
彼女は無事だった。傷一つ負っていない。彼は胸を撫で下ろし、彼女の額に手を伸ばしてみた。するとそこには確かにあの宝石が輝いていた。Garwzicaqalw
家に伝わる宝石、サファイアのように青く澄んだ宝石が。彼はその宝石を見つめながら、君が無事で良かった。
と呟いた。
その時、ゆっくりとBaqaxwzikwrw Garwzicaqalw
が目を開いた。彼女は周囲を見回し、彼の顔を見つけるとあなたが無事で良かった。
と微笑んだ。彼女の言葉にCeqerwlicusw
も君も無事でよかった。
と彼女の頬を撫でながら答えたのだった。
その時、二人がいる部屋の扉が開いて、お目覚めになられたんですね。
と恰幅のいい女性が微笑んで入ってきた。Ceqerwlicusw
Cinarwziqilw
様とBaqaxwzikwrw Garwzicaqalw
様ですね?先程までお二人とも意識がありませんでしたが、無事で何よりです。光神Comwnwnaqanw
が貴方様方を守ってくださったのでしょう。
と話した。Ceqerwlicusw
は光神……!?
と呟きつつも驚きを隠せない表情であ、貴女は……?
と質問する。
申し遅れました。私はPiswpicuqulw Comwnwnaqanw
。光を祀る者にございます。
と深々と頭を下げた。Piswpicuqulw
はPiswpi
族の最高位の司祭の名であり、いわば神の子孫を指す名でもある。Ceqerwlicusw
は驚愕し、まさか、あなたが……
と呟いた。それは、Piswpicuqulw
、つまり神の子の名を冠する者が神殿より出仕するということは、何か未曾有の危機が迫っていると同様だと昔から伝えられていたためである。
Piswpicuqulw Comwnwnaqanw
は思い出したかのように恐る恐る口を開く。光神Comwnwnaqanw
の五鑛の色が変質し、他の神殿でも、五鑛
の色が……お二方が遭遇なさった災厄と同等のものがあったと……
と途切れる様な声で続け、その表情は言葉を紡ぐだけでも精一杯のように見えた。
それを聞いたCeqerwlicusw
はPiswpicuqulw
様!
と叫び、Piswpicuqulw Comwnwnaqanw
に駆け寄る。そして、貴女がここにいるということは、何か大きなことが起こっているのですね……
と続けた。彼女は何も言わずただ首を小さく縦にゆっくりと振って、何もできない悔しさに唇を噛んでいたのだった。